「協育」を学ぶ

Q&A

協育とは?

Q1 「協育」とはどういう意味ですか?

「協育」という言葉は「協働して育む」という言葉を短くした造語です。大分県教育委員会が平成17年から使い始めた言葉で、「学校、家庭、地域社会が連携し、それぞれの教育機能を相互に補完・融合しながら、協働して子どもを育てていくこと。」としています。学校の教育力、家庭の教育力、地域社会の教育力の三つの力をプラス(+)《協》して子どもを育む・大人が育つ《育》ことを目指して、その意味を感じていただくためにあえて「協育」という造語を使っています。

大分県教育委員会では、平成17年度から「地域協育振興モデル事業」(豊後高田市・臼杵市・佐伯市・豊後大野市)を実施して推進してきました。さらに、「地域協育振興プラン」 (H19.3)の策定や、別府市と由布市での取り組み(文部科学省委託)をとおして全県への普及を図っています。さらに、平成20年度から、国の「学校支援地域本部事業」によって全国的な取り組みとなり、大分県でも多くの市町村で取り組んでいます。

 

 

Q2  ここでの「協働」とはどういう意味ですか?

「協育」を推進するためには、「地域の大人全員で子どもを育てる」という意識が必要です。このことは「協働」の意識であると言ってもよいと思います。「協働」とは、複数の主体が共通の目的や課題を持ち、対等に利益を得るとともに、対等に責任を負う関係で活動に取り組むことです。このことがない限り、「協育」活動は成立しないと考えられます。

 

 

Q3  なぜ「協育」なのですか?

「協育」の背景

地域の子どもを、地域のみんなが協働して育てる。そのような動きが、今、全国各地で広がり始めています。少子化のなかで子どもの社会性の発達が困難になり、また、食育や子どもの安全など、今日、子どもをとりまく環境は、大きく変わってきています。そのことが、子育てをチームで協働して行う「協育」の必要性を増大させているのです。

平成18年12月に施行された改正教育基本法の第13条に新たに規定された「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」が新たに規定され、「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。」とされています。文部科学省が推進する「学校支援地域本部事業」こうした背景から実施されているものです。

 

ベクトルの共通方向化

「協育」が叫ばれるようになった社会的背景としては、さまざまなことが考えられますが、共通することは高度化・複雑化、都市化や核家族化が進んでいる今日の社会において、家庭、学校、地域社会が子どもの教育に対し、それぞれ別方向を向いていれば、その効果はきわめて希薄なものになるという考えがあります。言い換えれば、子どもの教育に関し家庭、学校そして地域社会 (住民)のベクトルが共通の方向を向き、協働して取り組まない限り教育効果が期待できないということです。

 

システムとしての「協育」ネットワーク

都市化や核家族化が進み、家庭や地域の教育力の低下が指摘されている中で、教育病理現象などに見られる子どもの問題行動の解決は、もはや特定の機関のみの努力では不可能であるということが認識され始めました。また、学校の閉鎖性や学校教育の肥大化に対して、教育機能の家庭や地域社会への再配分意識、生涯学習社会における教育のあり方等が議論の的になってきており、家庭、学校、地域社会のシステムとしてネットワーク化される意義が強調されたといえます。

子どもの教育に関して、家庭、学校、そして地域社会のベクトルが共通の方向を向き、 協働して子どもを育てるという「協育」の必要性から、そのシステムとしての「協育」ネットワークづくりが重要です。

 

 

Q4 「協育」による効果は何ですか?

家庭、学校そして地域社会の協働は、関係者間の信頼感を高め地域社会感情を形成し、その結果、直接的あるいは間接的に子どもに対する教育効果を高めます。同時に、大人のつながりを創り出し、大人の生きがいづくりという効果を生み出します。このことは、「生涯学習社会の形成」に大きな役割を果たすことは間違いないと考えられます。

「協働」に基礎をおいた「協育」ネットワークの創造こそ、子どもの教育に対し、今日求められている重要な取り組みであるとともに、大人社会の再構築のための一つでもあります。

 

 

Q5  そのような意味での協働は、これまでも行われていたのではないのですか?

活動の現状と課題

行政が行う各種事業や団体・グループの活動が単発的に個々で活動しているために、一部の関係者への負担の増加、活動の重複、対象の取り合い、「縄張り意識」等が起こり、活動成果が充分に得られていない現状があります。その上、学校が求める地域人材の確保や活用手段の整備がされていないために、学校での地域教育力の活用がなかなか進まないという現状もあります。

 

新たな人々の参画

「私も参加して子育てのお手伝いをしますよ」という地域の方々も多くいるにも関わらず、そうした方々の支援、参画が進んでいない現状があり、こうした地域の多くの方々を子育てに参加していただくことが重要です。

 

 参考文献 :『地域協育振興のためのQ&A』
(平成18年3月 大分県地域協育進行協議会発行)

Next > 「協育」のネットワーク (2/4)